今回特別講演の講師としてお迎えしたのは,“失敗学”で有名な東京大学名誉教授で現在工学院大学教授の畑村洋太郎先生です。「世界の三大失敗をご存知だろうか。タコマ橋の崩壊、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没…。これらは人類に新たな課題を与え、それと向き合うことで我々はさらなる技術向上の機会を得た。一方日本では、JCO臨界事故、三菱自動車のリコール隠し、雪印の品質管理の怠慢など、失敗の隠匿がさらなる悲劇を引き起こした。」(畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』講談社(2000)より)震災はまさに地震に対する対策の失敗そのものです。畑村先生は地震工学にも強い御関心を持たれており、この機会に地震工学を専門とする方々と議論の場を持ちたいとおっしゃっております。失敗学の観点から地震工学へのお考えをお聞きし、さらに本講演会が、震災を繰り返さないための議論の場になればと考えております。
演 題:失敗学と地震
講 師:畑村洋太郎 工学院大学国際基礎工学科・教授、(株)畑村創造工学研究所代表(東京大学名誉教授)
2004年12月26日にスマトラ島沖を震源とする巨大地震が発生し,インド洋沿岸の広範な地域において,甚大な津波災害を引き起こしました。本パネル討論では,この津波災害に関係したアジア諸国と日本の津波研究者や防災関係者にお集まりいただき,津波災害を軽減するための津波現象の解明,津波の観測と早期警報,減災対策,復旧・復興活動などについて討論いただきました.
講演者と講演タイトル:
PD-1:Damage and Impact on the Coastal Area due to the 2004 Indian Ocean Tsunami
「インド洋津波の特徴と将来の課題」
今村文彦(東北大学災害制御研究センター教授)
PD-2:Reconstruction of Houses in Aceh, Twenty Months after the Tsunami of Dec 26, 2004
「インドネシア・バンダアチェの津波災害からの復旧・復興活動と課題」
Teddy Boen (インドネシア津波災害復旧復興アドバイザー, Teddy Boen Associate)
PD-3:Sri Lankan Experience of Tsunami and Mitigation Measures for Natural Disasters
「スリランカの津波災害からの復旧・復興活動の現状と課題」
Sahabandu K L S (スリランカ災害マネージメントセンター委員、Act. Additional General Manger, Central Engineering Consultancy Bureau)
PD-4:Proposal of a Sustainable Tsunami Disaster Mitigation System Considering the Characteristics of the Indian Ocean Region
「インド洋沿岸の特性を考えた津波災害軽減システムの提案」
目黒公郎(東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター教授)
その後:スマトラ地震津波災害からの復旧と復興、そして将来の地震津波災害軽減のための課題に関するPD(司会:目黒公郎)
地震工学は多岐の専門分野にわたり、これから技術者をめざす若手が、全ての主要分野の知識を得る機会に恵まれないのが現状です。本講義シリーズは、これから技術者をめざす大学院生から初級技術者に至る年代の方々の必須科目です。各主要な分野の専門家がわかりやすく概説します。
強震動のなりたちとその予測
:香川 敬生(地域地盤環境研究所)
耐震診断
:大橋 好光(武蔵工業大学工学部建築学科)
建物の免震・制震(振)
:池田 芳樹(鹿島 小堀研究室)
地盤と構造物の相互作用
:古山田 耕司(鹿島 小堀研究室)
液状化・地盤災害
:金谷 守(電力中央研究所)
災害情報・防災システム
:松岡 昌志(防災科学技術研究所)
津波
:越村 俊一(東北大学災害制御研究センター)
本シンポジウムでは,学術講演発表と併せて,企業や研究機関による地震工学に関連する最新の技術・商品に関する展示を企画しております.地震防災の取り組み,地震工学関連技術のすばらしさや課題,地震観測から耐震構造・免震構造にいたるあらゆる地震工学分野の最先端技術等を一般の方々に理解して頂く場にしたいと考えております.
2004年にバンクーバーで開催された第13回世界地震工学会議では,「日本 における地震工学の最新動向」に関する特別セッションを設け,日本の地震工学の動向を世界に紹介しております.本セッションでは,この発表の中から現在話題性のあるテーマを選び,国内向けにそれからの進展した内容を加えて発表を行ないます.
司会:安田 進
地盤と基礎
S1-1 液状化に伴う地盤の流動
:安田 進(東京電機大学)
S1-2 橋梁と液状化
:杉田秀樹(土木研究所)・谷本俊輔
S1-3 地盤データベースの構築と被災分布
:沖村 孝(神戸大学)
司会:高田毅士
耐震基準の最新動向
S1-4 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の改訂について
:名倉繁樹(原子力安全・保安院)・前田洋介・水間英城・青山博之
S1-5 耐震規定ISO 3010 とEurocode 8 の概要
:石山祐二(北海道大学)
司会:緑川光正
建築構造物の耐震補強と免震・制振技術
S1-6 学校施設の耐震化対策の現状
:中埜良昭(東京大学)
S1-7 木造住宅の耐震補強
:腰原幹雄(東京大学)
S1-8 戸建住宅における免震技術
:飯場正紀(建築研究所)
S1-9 日本における建築構造物のアクティブ・セミアクティブ振動制御
:池田芳樹(鹿島)
2006年5月27日にジャワ島中部を震源とするマグニチュード6.3の直下型地震が発生し,古都ジョグジャカルタ市周辺の農村部を中心として,レンガ造家屋などが多数倒壊し,約5,700人の死者を数えるなど大きな被害が発生しました.この地震に対して我が国からは,建築学会・土木学会合同調査団,地盤工学会調査団,文部科学省突発災害調査団など複数の調査チームが現地調査を行いました.本特別セッションでは,この地震の特徴的な項目に対して,調査にあたった研究者による報告を行います.
司会: 壁谷澤寿海
S2-1 2006 年5 月26 日ジャワ島中部地震の震源モデル
:井上 公 (防災科学技術研究所)・岩田知孝・中野優・熊谷博之・宮川幸治・山品匡史・石田瑞穂・青井真・
森川信之・プリハルジャディ
S2-2 2006 年ジャワ島中部地震:震源域の被害から見た強震動のレベルおよび地盤の影響評価
:川瀬博 (九州大学)・中村壮志
S2-3 人工衛星リモートセンシングから観た2006 年ジャワ島中部地震の被害
:三浦弘之 (東京工業大学)・松岡昌志・山崎文雄・砂金伸治
S2-4 2006 年ジャワ島中部地震による地盤災害調査
:吉嶺充俊(首都大学東京)・古関潤一・後藤聡・清田隆・原忠・R. I. WICAKSONO・Y. AGUSTIAN
S2-5 2006 年5 月27 日インドネシアジャワ島中部地震による建物被害
:倉本洋 (豊橋技術科学大学)・前田匡樹・河野 進・楠 浩一・真田靖士・高橋典之・ファウザン・山野辺宏治
S2-6 Ground Motions and Soil Deformations in the May 27, 2006, Mid-Java Earthquake
:Kazuo KONAGAI (The University of Tokyo)・ Yoshiaki NAKANO・Masaomi TESHIGAWARA・Takaaki IKEDA・
Tomoji SUZUKI
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