我が国は,世界でも有数の地震国であり,古くから世界をリードする地震学ならび耐震技術に関する学問や技術開発が行われてきました。ところが,これらの活動は,これまで,建築,土木,地盤,地震,機械等の分野に分かれて行われてきており,地震工学として連携した活動を行う学会がありませんでした。しかし,たとえば1995年兵庫県南部地震による被害を見ても明らかなように,大都市の耐震性を向上させるためには,関連した各分野の研究者や実務者が協力して,問題解決に当たる必要があります。 このようなことから,2001年1月1日に日本地震工学会が発足しました。日本地震工学会の目的は,地震工学の進歩および地震防災事業の発展を支援し,もって学術文化と技術の進歩と地震災害の防止と軽減に寄与することにあります。
日本地震工学会は,これまでの地震工学関係の研究者や技術者のみならず,地震そのものや地震による災害に関わるあらゆる分野の人々にとって有益な交流の場となるものであります。したがって,これまでに耐震工学に関わってきた人々は勿論のこと,行政や公益事業に関わる人々,あるいは地域計画や心理学などの人文・社会科学に関する研究者,さらには医療関係者など,地震による災害に関わりのある分野を対象としています。 日本地震工学会が対象とする分野はこのように大変幅広いものですが,これをもうすこし具体的に示すと,地震動や活断層の工学的評価,建築物,道路・鉄道施設,電力・上下水道・ガス・通信等のライフライン施設,地盤・土構造物,河川施設,港湾施設,機械施設等多岐にわたる施設・構造物の地震前の耐震化,地震時の機能維持,地震後の復旧などのほか,国や自治体の地震防災対策,地域防災計画,地震危険度評価,発災後の対応,医療対策,震災時の救援救急システム,震後復興,地震災害調査と分析,さらには国際的な震災軽減の技術的支援,地震防災教育などの分野となります。
日本地震工学会は,電子メディアを活用して充実した論文集を効率的に会員の皆さんにお届けするほか,会員の皆様にインターラクティブな情報交換の場を提供します。また,年次学術講演会などの定期的な研究発表会の開催,地震工学・地震防災関連の講習会や研修会の開催,調査・研究プロジェクトの指導・推進,新技術の評価,耐震基準の開発・普及,技術者の生涯教育支援,地震防災施策の提言,地震工学・地震防災分野における国際交流ならびに国際貢献を担う活動,地震工学の広い分野が連携した地震災害調査とその成果の公表,などを行っています。
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