東日本大震災を契機として津波等の突発大災害からの避難に関して、実態調査、課題の整理と対策の提案、避難シミュレーションの改良、複合災害への対応、被災が想定される地域への研究成果のフィードバック等が行われてきている。特に、避難シミュレーションは定量的な情報に基づいて、工学的に合理的な判断をするツールとして期待されるが、現状では避難の課題の解決に十分に活用されていない。
そこで、津波避難の実態調査、避難シミュレーション、避難対策などの専門分野にかかわる研究者を総合し、これらを横断する形で避難における諸課題に対する工学的で合理的な検討を行い、その検討結果の実社会での活用を促すことを本委員会の目的とする。この課題の研究には多くの専門分野が関わる場が必要であり、分野横断的学会である地震工学会に設けられた本研究委員会がその役割を担う。
2018年4月1日 ~ 2020年3月31日
津波避難に関する既往の文献の整理を行い、避難経路選択、避難開始時間、避難阻害要因、過去の経験の有無(動機付け)の4つの要因に関する取り扱い方の比較分析を行う。また、これまで調査を行ってきた人口数千人規模の自治体に加え、人口30000人程度の高知の自治体とも協力し、避難訓練を通じて研究のための有益なデータを収集するとともに、そこで得られたデータから、有効な避難訓練に資する資料の作成を試行する。さらに、関連する研究分野からの委員会への参加を広く集め、検討の幅を広げて行く。1) 東日本大震災などで調査された避難のデータに基づいて、課題の整理と対応策の検討をする。また、被災が想定される地域への研究成果のフィードバックと減災に向けた協同作業をすすめる。
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