日本地震工学会は優れた研究により地震工学の分野で顕著な業績をあげた若手研究者を奨励するために「日本地震工学会・論文奨励賞」を 2005年度より設置しました。受賞対象者は、表 彰年の前年度の12月31日から2年前までの期間に日本地震工学会論文集に掲載された論文の筆頭著者を原則として、受賞年度の 4月1日において満35歳以下の正会員あるいは学生会 員です。
2010年度論文奨励賞の受賞者は、該当する全ての受賞候補者の中から論文集編集員会による選考、および理事会による審議を経て、下記の1名と決定いたしました。心よりお祝いさせて頂きます。授賞式は本年5月27日に日本地震工学会の総会が建築会館で行われます際に実施されます。
受賞理由:
本論文は、強震観測記録と、その地震における建物内での地震動増幅度の傾向から、建物の様々な条件を考慮した建物の地震動増幅度を推定する経験式を提案したものである。具体的には、アメリカ・カリフォルニア州の建物で記録された強震観測記録を用い、建物内での地震動増幅度の傾向を調べるとともに、建物を等価1 質点系でモデル化し、建物階
数、構造種別、建物の塑性率などを考慮して地震動増幅度を推定する経験式が構築されている。地震動の強さを示す指標としては、計測震度に加えて、最大加速度と最大速度が用いられている。構築された加速度・速度・震度増幅度の経験式は観測記録の傾向を概ね説明できることが確認されている。この経験式を用いることにより、地表面での地震動情報から建物内での地震動強さを迅速に推定することが可能となり、工学的に有用である。以上のことから、本論文は論文奨励賞に相応しいと判断した。
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