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次世代型地震工学実験施設のあり方に関する研究委員会 第1回委員会・議事要旨(案)

1.日 時

平成18年8月3日10:00−12:00

2.場 所

建築会館304号室

3.出席者

川島一彦、中島正愛、運上茂樹、三田 彰、安田 進、中埜良昭、塩原 等、高橋良和、
渡邊 淳(オブザーバー)、阿部浩一(オブザーバー)

4.配付資料

資料1−1:次世代型地震工学実験施設のあり方に関する研究委員会設立趣意書
資料1−2:逆転した日米の耐震実験研究能力(川島一彦)

5.議事要旨

1)委員会の設置経緯

 参加者の自己紹介の後、資料1−1を用いて川島委員、塩原委員から委員会の設置経緯が説明された。

2)委員長の選出

 委員の互選の結果、川島委員を委員長に選出した。川島委員長は塩原委員を幹事長に指名した。

3)委員会の活動方針

 資料1−2が川島委員長から紹介された後、委員会の活動方針をフリーディスカッションした。主要な意見は以下の通り。

(1)我が国の実験施設に対する現状認識の重要性

  • 実験施設の質が我が国の地震工学研究の国際的プレゼンスに大きな影響を与えていることは事実。EESD等、国際ジャーナルへの投稿論文数から見ると、我が国の国際的プレゼンスは近年向上するどころか低下していると見ている。この傾向は残念ながら今後も変わらないだろう。
  • 日本の大学の地震工学関連の実験施設がすべて貧しく国際水準に達していないかというと、そうではない。私学助成金で整備された福山大学や愛知工業大学等の実験施設は国際レベルに達している。京大のように教員の努力で大型実験が可能なレベルになっている大学もある。現状認識を正しく行うことが議論の出発点として重要。国立大学は従来産業界と直に結びつく努力をしてこなかったところが多い。民間との委託研究をもっと取りやすくする等の取り組みが重要ではないか?
  • E-Defenseは大型震動台実験という一点に特化した施設である。このため、アクチュエーターさえ1本もない。研究の広がりが必要で、E-Defenseだけでなくそこに至る中型、小型実験や振動台実験以外の実験を適切に行い、相互補完関係を構築することは重要。

(2)最終成果のイメージをはっきりさせるべき

  • 本委員会の最終成果は何かを考えておくべきである。実験データのアーカイブ化や実験情報の伝達システム、答申といった以外に、この委員会の成果に基づき振興調整費を要求し、現実に実験施設を作るという努力も必要ではないか?
  • 最終成果としての提言は誰に対して出すのか?大学関係では文部科学省ということになるが、国立研究機関や独立行政法人としての研究所、民間建設会社の研究所等に対してはどのように考えるべきか?国土交通省系だけでなく経済産業省系の研究所(たとえば、産業安全研究所)や電力中央研究所等の研究機関もある。
  • 政府系・公的研究機関や民間研究機関が提言をどのように生かそうと考えるかは、機関によって異なるのではないか?したがって、提言を有効に生かそうという機関を対象とするのが適当ではないか?また、日本地震工学会は学術団体であるから、大学系研究機関を中心に考えれば良いという考え方もある。

(3)日本学術会議や総合科学技術会議との連携はどうする?

  • 日本学術会議は20期に入り、従来の地震工学研連のような委員会は今のところ設けられていない。
  • 総合科学技術会議では社会基盤グループを担当する事務局があり、国土交通省から出向した職員が担当している。第3期のとりまとめは終ったが、次期計画中に地震工学実験施設の拡充の重要性を位置づけることが必要ではないか?担当者と協議してみる必要がある。
  • 文部科学省内では大学の研究施設は学術機関課が、また、地震・防災分野の研究は開発局が担当している。

(4)実験データのアーカイブ化

  • 実験データのアーカイブ化は重要であるが、NEESではこのためにスーパーコンピュータを持ち、専属職員も貼り付け、4億円/年程度の予算を取っている。E-Defenseでも実験データのアーカイブ化システムを作っているが、システムが完成した後、維持のための予算が相当かかるといわれている。
  • 実験データを出す側のメリットを十分確保しないと、実験データが出てこないだろう。たとえば、実験データを提供することが論文を書くことに匹敵するような仕組みが必要ではないか?

(5)若手研究者の実験離れ

 若手研究者が実験離れしているのではないか?面倒だ、きつい、時間がかかる等の理由できれいなコンピュータールームで解析した方が楽だという意識もあるようだ。実験と解析の良いコンビネーションが重要であるが、実験施設がないから最初から実験をあきらめているという点も考えられる。このあたりの実情と若手研究者の意識を調査してみる必要がないか?

(6)アンケート調査

 実験施設の必要性に対する意識や関心のある次世代型実験施設、若手研究者の実験離れがあるとすればその理由等に関するアンケート調査が有効ではないか?

6.HPによる委員の公募

 委員の公募をすることが了承された。

7.その他

次回以降の委員会日程を以下のように定めた。
  第2回委員会:9月13日(水)17:30−19:30 (建築会館308会議室)
  第3回委員会:10月17日(火)10:00−12:00(建築会館307会議室)
  第4回委員会:11月29日(水)10:00−12:00(建築会館307会議室)

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