次世代型地震工学実験施設のあり方に関する研究委員会 第2回委員会・議事要旨(案)
1.日 時
平成18年9月13日(水)17:30−20:00
3.出席者
川島一彦、塩原 等、運上茂樹、安田 進、三田 彰
4.配付資料
資料2-1 第1回委員会議事要旨(案)
資料2-2 George E. Brown, Jr. Network for Earthquake Engineering Simulation
資料2-3 地震工学系実験施設の現状に関するアンケート調査(個人)(案)
資料2-4 地震工学系実験施設の現状に関するアンケート調査(機関)(案)
資料2-5 地震工学実験データのオープン・アーカイブ化に関するアンケート調査(案)
5.議事要旨
1)前回議事録の確認
資料2-1を用いて川島委員長から説明が行われ、議事録として承認した。
2)NEESに関する自由討議
NEESに関して、以下の自由討議を行った。
- NEESは単に実験施設というのではなく、向こう10年間の予算を組み込んだ地震工学分野の研究向上のための総合政策である。
- NEESはIT利用により空間的に離れた施設の共同利用という目新しさを売りにしている。
- 誰もが実験を見ることができ、さらに実験データも公開することを武器に、米国の地震工学研究を世界に売り込むという戦略性を持っている。これが米国の国際戦略とも合致している点が、NEESが実現できた大きな理由ではないか?
- 本委員会では、今後、どういう研究を行う必要があるかを明らかにし、こうした問題点をブレークするためにどういう実験施設が必要かという整理が必要ではないか?単にこれこれの実験施設が必要であるといった答申では説得力がないであろう。
- どういう研究を行う必要があるかについて、アイデア出しをアンケートに含めることも考えられる。ただし、こうしたアイデアは研究者は出したがらないものである。したがって、この委員会内でブレーンストーミングを行って今後必要な研究の頭出しをしてはどうか?
- 建築学会大会では、基礎の2次設計や長周期地震動などが話題となっていた。こうした課題は今までにもいろいろな機会で整理されてきているので、集めることができるのではないか?
- 新しい研究ニーズや動向を調査する際には、米国では調査団を各国に派遣して体系的に調査している。
3)実験施設の現状に関するアンケート調査(対個人)
資料2-3を用いて川島委員長から説明が行われた後、以下の打ち合わせを行った。
- 対象は誰か?地震工学会の会員全員や建設系技術者に送ることも考えられるが、研究を行っていないコンサルタンツやゼネコンの非研究部門に送っても、答えようがないのではないか?大学の研究者、国研および公的研究所(大学以外)の研究者、ゼネコンの技術研究所の研究者が対象ではないか?
- 返信用封筒を入れて郵送することも考えられる。質問票と解答を添付資料とし、各委員から一言アンケート調査に対する依頼文を添えてメールで送り、メールで日本地震工学会事務局に返送してもらえばいいのではないか?100〜200人程度から解答が集まればいいのではないか。
- どういう研究をやりたいと考えているか、また、もし、1億円の予算があればどのような実験施設を作りたいかといった点もアンケートに加えてはどうか?
4)実験施設の現状に関するアンケート調査(対機関)
- アンケートの依頼先として、大学ではどこに送ればよいか?大学では組織として研究施設を考えているところはないのではないか?
- たとえば、土木研究所のような公的研究所では、多数の実験施設があるが、個々の実験施設に該当する質問と土木研究所全体に関わる質問がある。これらの切り分けをどうするか?
- 実験施設を有する機関から見れば、日本地震工学会にどのような検討を期待するだろうか?逆に見れば、この委員会としてはどういう結論を出すことが期待されているのか?たとえば、実験施設の稼働率が低いので相互利用協定を結ぶことが有効だというアンケート結果が出てきても、企業の研究所は必要があれば当然こうした協定を結ぶであろうし、この委員会として貢献できるとは考えられない。
- 結局、この委員会としては、今後新たに出る問題に対して的確に対応するためには実験施設が必要との結果をとりまとめ、これを機関内で有効に利用してもらうという形でしか、機関には貢献できないのではないか?そうであれば、機関別のアンケートは意味がないことになる。
- そうであれば、アンケートではなく、実験施設ごとに日本のトップ10を調査する事でよいのではないか?海外の実験施設と比較し、日本の実験施設の実情を知ることに貢献できるのではないか?
- 各企業からパンフレットに相当する資料を提供してもらい、実験施設ごとに日本のトップ10をまとめることを考えよう。
5)地震工学実験データのオープン・アーカイブ化に関するアンケート調査
資料2-5を用いて塩原幹事長から説明が行われた後、以下の打ち合わせを行った。
- “オープン・アーカイブ”の“オープン”や“公開”の範囲をたとえば日本地震工学会会員とかは日本地震工学会とデータ利用協定を取り交わした者といった形で限定しなくて良いか?
- 限定する方向に最初から向かうことは適当ではないかもしれないため、順次アンケートを行う中で考えていってはどうか?
- グーグル検索のように誰もが利用できるという視点が重要ではないか?データ作成者やデータ提供者が思ってもみない形でデータが利用されるという点が重要である。
- 公的機関から地盤データを集めてこれをある学会でデータ化し売ろうとした際に、公的データを売ることができるのかいう点が問題になった事がある。
- 公的資金を使って行った実験データは原則として無料で公開されるべきだという点が重要である。公的研究機関でも情報公開法によりデータを出していくことが求められるようになっている。
- 日本地震工学会がアーカイブ化を進めていくという前提でアンケートができているが、膨大なデータになるはずで、別途そのための組織を作るべきという答申もあり得るのではないか?日本地震工学会が実験データのアーカイブ化を担当することが適当かという設問を設け、この中に、解答の選択肢として、日本地震工学会と並んで独立して設ける機関を入れるようにしてはどうか?
- 設問の中には似た項目が何回も出てくるが、これらをまとめるように設問の並び替えをしてはどうか?―>アンケートが誘導的に見えないようにこのような工夫にしている。
6)全体討議
今年度の報告書としては、1)欧米諸国の実験施設の現況、2)日本の実験施設の現況、3)実験施設に関する研究者の見方の現状(アンケート調査結果)、4)データアーカイブ化(アンケート)を中心にまとめ、平成19年5月頃に、「新しい発想の実験施設を用いた実験的研究に関する研究発表会」といった研究発表会を行ってニーズを把握すると同時に、パネルディスカッションを行って問題意識を会員と共有したり、PDにより本委員会の議論を紹介する場を設けてはどうか?
6.次回
第3回委員会は予定通り、10月17日(水)10:00−12:00(建築会館307)とし、以下の議事を予定する。
(1)アンケート(実験施設及び実験データアーカイブ化)の最終案(川島、塩原)
(2)データディポジットリーの現況紹介(三田)
(3)委員会の活動方針
第4回委員会:11月29日(水)10:00−12:00(建築会館307)
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