米国機械学会圧力容器・配管会議2002

(2002 ASME Pressure Vessels and Piping Conference)

参加報告

 

東京都立工業高等専門学校

古屋 治

1.はじめに

 平成14年8月4日から8日まで,カナダ西部最大の 都市バンクーバーのHyatt Regencyにて2002 ASME Pressure Vessels and Piping Conference(米国機械学会圧力容器・配管会議:以下PVP)が開催されました。

 本会議は,1966年に米国機械学会で設立され,現在約 1400人が所属するPVP Divisionが毎年開催している国際会議であり、毎年100を越えるセッションと50 0編以上の論文からなる大規模な学会の一つに位置付けられます。また,日本機械学 会が共催という形式で数年に一度参加している国際学会でもあります。会議名として 「圧力容器・配管会議」となっておりますが,耐震に関連した非常に多岐に渡った研 究分野を含むものとなっております。このため,日本からも,多くの耐震関係の研究 者,技術者が参加されております。

 また,本学会の理事をなされておられます東京都立大 学 鈴木浩平先生が一昨年より日本人としては初めてSeismic EngineeringのTechnical Committee Chairになられております。

 なお,本年度は,169セッション,602編の論文 報告があり,参加国は,例年通り20カ国以上にのぼりました。

 

2.会議の内容

 本会議は、基本的に午前2つのテクニカルセッショ ン、午後3つのテクニカルセッションセッションが17会場を使用して並行開催され るという形式です。また,会議は,大きく次の11トピックスから構成されていま す。

(1) Codes & Standards

(2) Computer Technology

(3) Design & Analysis

(4) Fluid-Structure Interaction

(5) High Pressure Technology

(6) Materials & Fabrication

(7) Operations, Applications, & Components

(8) Seismic Engineering

 これらのトピックスからも当該会議が多岐に渡る内容 を扱っていることがお解りになると思われます。

 著者は,主に耐震,免震,制振関係を研究フィールド としているため,それらの関連セッションに参加しておりましたが、今年度の主なト ピックスは,次の11トピックスです。

・ Seismic Design Criteria, Design Code, and Failure Analysis of Piping Systems and High Pressure Gas Facilities

・ International Symposium on Seismic, Shock , and Vibration Isolation

・ Panel Discussion on Performance Goal Based Seismic Design Philosophy

・ High Level Seismic Response of Piping

・ Large Scale Ongoing R&D Projects on The innovative Techniques for Seismic Isolation and Vibration Control of Structures

・ Technologies for Seismic Mitigation

・ Large Scale Ongoing R&D Projects on Seismic Engineering

・ Forum on Appropriate Criteria and Methods for Seismic Design of Nuclear Piping

・ Seismic Structures Response and Interaction

・ Background on Recent Changes in Section III Rules for Seismic Piping Design

・ Seismic Evaluation of Systems, Structures, and Components

 

 4日目の昼食は,PVP Divisionの授賞式を含むHonors and Awards Luncheonがあり,各種の部門賞などの表彰式が執り行われました。本年は、圧力容器 や配管の耐震設計に貢献されてきたAlexander H. C. Marr博士にPVP MEDALが送られました。日本人としては大阪府立大学 藤田勝久先生がCommittee Service Awardsを,熊本大学 伊東繁先生がTechnical Program Representatives for PVP2002を受賞なされました。また,毎年行われているStudent Paper Competitionにおいて横浜国立大学修士2年 関氏が受賞しました。

 

3.おわりに

 近年開催されている耐震関係の国際会議の中でも大規 模な会議に位置付けられるASME Pressure Vessels and Piping Conferenceの報告を致しました。本会議は、国際的に多くの耐震関係の研究者が参加 する会議であり、近年の研究動向を知り,また,広く情報や技術あるいは経験を交換 しあえる良い機会になっていると思われます。

 次年度は、オハイオ州クリーブランドにて2003年 7月20日〜24日の日程で開催されます。ご興味のある方は,是非ご参加を検討下 さい。

 

執筆後記

 8月初旬の開催ということで非常に良い季候でした。 日本人の参加者は,例年通りアメリカに次いで二番目に多かったと思われます。この ような国際会議になると海外の様々な研究者と情報交換できることはもちろん,日本 では,忙しくてなかなかお話出来ない方々とinformalにお話しできる良い機会になっ ています。食事の方も結構おいしいところで楽しい学会期間を過ごしました(もちろ ん,学会で準備されたランチはいつものように?でしたが)。特にサーモンがおいし く,また,ステーキも以前アメリカの某州で食べたガムのようなステーキから比べれ ば非常においしかったです。あと,ビーフジャーキーは絶品でした。

 

 

バンクーバー風景(その1)

 

バンクーバー風景(その2)

 

オープニングセレモニー風景

 

セッション風景

 

授賞式&ランチ風景