サイレント・アースクェイク 地球内部からのメッセージ 川崎一朗 島村英記 浅田 敏 著
発行 東京大学出版会 参考文献
我々の主要テーマである地震は、地球内部の地殻で生じているプレート運動から生じる断層破壊が原因である(プレート・テクトニクス理論)事は良く知られている。しかし、地震学ではプレート間の60〜70%は地震に至らないゆっくりした断層運動でエネルギーが解消されていると言われ、通常のバリバリ地震でないヌルヌル地震と呼ばれている。ヌルヌル地震の原因は未だ良くわかっていないが、通常の観測では捉えられない300秒(5分)以上の超周期の波動のみを放出するサイレント・アースクェイクが含まれているのではないか?とも言われている。この現象での問題はなぜ、100%のサイレント・アースクェイクのみで地殻運動のエネルギーを解消しないか?又、何が地震をトリガーするかも大きな謎であるとの事である。周期の長い波動ほど非線形、粘性を考慮した弾塑性理論がより大きなエネルギーを蓄積して運搬できる。その状態での突然短周期入力によるエネルギーの解放がトリガーと考えられる。一方、人間は静かに瞑想しているか、ストレスが高じて怒りを爆発させるかの二つの状態だけでなく、我慢したり、怒りを小出しにしたりして多様な反応をしている。
地球そのものも大地震時に膨らんだり、縮んだりして60分(1時間)程度の固有周期をもっている(チャンドラー振動)ことから平時も人間の肺、心臓のように脈動していると考えるほうが自然である。人体の血液の流れと地殻のプレートの流れを対比すると、興奮で脳溢血を生じる現象と断層破壊で地震が発生するメカニズムは理解しやすい。最近は自然界のエネルギー授受も大気圏、水圏、岩石圏の多層相互作用が課題になっている。私はこの自然界との相互作用に人間の思念、感情を加える学際的地震学の研究を是非期待したい。つまり、地球人類全体の怒り、憎しみから発する短周期の波長は地球上に発生する地震のトリガーになるとの仮説である。人類の想いが優しく長周期の波長のみであれば世界中の地震はなくなるに違いない。しかし、そういう時代は残念ながら、我々、地震関連技術者の大半は失業の浮き目に合う事になる。 眞崎雄一
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