2018年は4年に一度の「日本地震工学シンポジウム」の
開催年です。
2018年は4年に一度の「日本地震工学シンポジウム」の開催年です。ご存じの通り、これまでオリンピック開催年に、世界地震工学会議(WCEE)が開催されてきましたが、直近の前回は2016年リオデジャネイロ・オリンピック直後の2017年1月に、チリのサンチャゴで16WCEEが開催されました。地震工学に係る皆さんもご存知のとおり、次回のWCEEは2020年東京オリンピック・パラリンピックの後に、仙台で開催されることが決まっています。
WCEEの中間年である2018年は地震工学の地域会議が多く開催される年で、6月にはカリフォルニアのロサンジェルスで米国地震工学会議(11NCEE)が、同月にギリシャのテサロニキでヨーロッパ地震工学会議(16ECEE)が開催される予定です。かねてから、このタイミングでのアジア地域を横断した地震工学会議の開催も考えられましたが、残念ながら今回も実現には至っておりません。2020年に仙台で世界会議が開催されますが、今回はその前段として第15回日本地震工学シンポジウム(15JEES)を2018年12月6~8日の3日間、仙台国際センターで開催することにいたしました。
15JEESは、(公社)日本地震工学会を幹事学会として、(公社)地盤工学会、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本地震学会、(一社)地域安全学会、(一社)日本活断層学会、日本災害情報学会、日本災害復興学会、日本自然災害学会の計11学会の共同主催で行われます。今回のシンポジウムは、一般論文セッション、オーガナイズドセッションのほか、東日本大震災後の復興状況や来るべき活断層地震や巨大地震に関連した基調講演が予定されています。また、前回同様に、シンポジウム開催後に、優れた論文を査読付きで集めた特集号を日本地震工学会論文集等で編纂することなども予定しています。
わが国では、2011年3月11日に発生した東日本大震災の後も、2016年4月14日・16日に熊本地震で2度の震度7を経験し、海洋性の巨大地震・津波だけでなく、全国に内陸活断層地震の潜在性があることを改めて思い知らされました。地震という自然現象は、太古の昔から現代まで変わることはありませんが、受け手である人間社会のあり様はその時々で様変わりしています。科学技術の発展は防災分野においても著しいものがありますが、高度に発達した都市環境や情報社会はそれ自身が脆弱性を持っていることを認識し、想像力を持って対応しなければなりません。
今後の地震・津波による被害をできるだけ小さく抑えることが、我々、地震災害を様々な角度から研究し対策を推進するものの使命であり、本シンポジウムをそのための情報交換や作戦会議の場として位置づけたいと思います。関連分野の研究者・技術者や大学院生に積極的に参加いただき、有意義なシンポジウムにしたいと思っています。
2017年12月
第15回日本地震工学シンポジウム運営委員会
委員長 風間基樹